ひとくちメモ
日本脳神経外科学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医である私が最近の耳よりな情報について意見を交えて書き記しています


脳卒中の定義:
  脳血管障害に起因した意識障害、または神経症状が出現した状態を言います。
大きく出血性疾患(くも膜下出血脳内出血)と虚血性疾患(心原性脳塞栓症アテローム血栓性脳梗塞ラクナ梗塞)に分類することができます。


脳卒中の頻度:
  人口約1000人に対して4−5人と言われています。
本邦における死因の第3位を占めています。脳卒中のうち特に虚血性疾患すなわち脳梗塞はさらに増加傾向にあります。

脳卒中の主な症状:
  ○ 突然のひどい頭痛
  ○ 突然の運動障害、感覚障害(多くは一側)
  ○ 突然の混迷、理解不能、会話不能
  ○ 突然の視力障害
  ○ めまいなどの平衡障害

上記の症状を認めた場合、すぐに脳神経外科を受診されることをお勧めします。

脱水(暑いときには要注意)  高血圧 ・糖尿病  コレステロール、中性脂肪が高い人  喫煙 不整脈(特に心房細動は心臓がリズム良く拍動しないために脳血管に血栓というゴミがとんでいきやすくなります。当院では、ワーファリン内服指導をしています)

  まず脳卒中(脳梗塞、くも膜下出血、脳内出血)に対する代表的な治療法として、 開頭手術 ・ 内科的な治療 ・ 脳血管内治療 があります。
 
1.開頭手術
  開頭手術とは従来からの治療法であり、全身麻酔下にて皮膚を切り、頭蓋骨を開けて、直接脳血管を見て対象血管を処置する方法です。この治療法は昔から行われており、現在の脳外科手術において確立された治療法です。

2.内科的な治療
  この治療法は出血の場合は、異常高血圧を薬によって安定化させ、出血などがこれ以上ひどくならないようにする治療です。特にくも膜下出血において、この治療だけでは出血の原因に対する根本的治療にならず、再発した場合、致命的な状態となります。 脳梗塞の場合、点滴治療によって血流を増やし、脳のダメージを最小限に押さえる方法です。

3.脳血管内治療
  脳血管内治療とは、大腿部の血管周囲に局所麻酔を行い、針を刺して、その管を経由して目的に合った細いカテーテル(径は約1mmです)を脳血管に誘導して行う治療法です。どのような治療を行うかによって使用するカテーテルは異なります。従来の脳外科手術法と大きく異なる点は頭皮を切り、頭蓋骨を開けて行う手術ではありません。患者さんには針を刺すソケイ部にのみ局所麻酔をするのみで、全身麻酔は基本的に必要としません。従って、患者さん本人は基本的に手術中、覚醒した状態にて行います。または手術中に精神的な安定を図る必要があると判断した場合には薬を使って鎮静をした後、治療が行われることもあります。

3.に示したような血管の中から多様な細いカテーテルを使って脳の病気を治す方法が近頃急速に発達してきました。
この治療法が発達し注目され始めた大きな理由として、頭を開けないその侵襲の少なさ、治療結果の向上、血管内治療器具の発達などが挙げられます。この方法はいろいろな脳血管病変に対して有効であり、さらにまだ多くの可能性を持っている治療法です。

(カテーテル)
このカテーテルを使用する治療をまとめて脳血管内手術と呼んでいます。この治療法は今まで到達できなかった部位にアプローチすることが可能で、治療成績も向上し、開頭による脳外科手術と並ぶ治療法となりつつあります。

  脳血管内手術は、有効な先端医療の一つです。良い治療結果によりもたらされる負担の軽さ、脳卒中による重篤な後遺症を軽減することは、革命的と言えます。しかし、一方で侵襲が少ない分、合併症が起きたとき、予想以上に重大な結果を招くことがあります。したがって、もしこの治療を希望される場合には、十分にこの治療の有効性、危険性を理解していただくことがまず第一歩となります。具体的に個々の予想される治療結果について、十分に経験のある血管内治療医と相談されることをお勧めします。

  また、この治療法は、いろいろな面で多くの制限があり、どの脳外科病院でもこの治療ができるわけではありません。いくら技術があっても古い撮影装置を用いた手術は、手術に伴う危険性が高まることがあります。当院ではこの手術がより安全により円滑に行われるために2003年1月よりGE横河メディカル社の高性能最新脳血管撮影装置(DSA:写真1-4)を導入しました。


写真 1

写真 2

写真 3

この撮影装置は多数の血管内治療支援機能が装備されています。
とりわけ血管内手術をする上で有用な機能として次のようなものがあります。

 >> 3次元脳血管撮影
今まで見えなかった細い血管や動脈瘤の形状が鮮明に写し出され、さらに動脈瘤などの病変に対して多方面からの立体視が可能になりました。撮影に必要な造影剤の量も少なく、全身への影響も最小限になるように設計されています。最早これなしに血管内治療はできないと考えています。
 >> 術中血管径計測装置
血管撮影像のデータから正確な血管の径が計算されます。これは血管のサイズの合った治療器具を選択するためには不可欠です。
 >> 血管内視鏡装置(仮想内視鏡装置)
血管の内側より血管の内部構造が映し出され、治療決定する上で重要な情報の一つです。

それでは実際の治療例を提示しながら解説をしていきたいと思います。

 

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